どうも皆さん、せいやと申します。今回は開発元が任天堂企画制作本部、販売元は任天堂でNintendo Switch向けに発売された『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』のレビューをしていきます。
※今回は例外ですが、基本的には私の評価では「有料DLC(ダウンロードコンテンツ)」「協力プレイ」「クリア後の過度なやりこみ要素」「mod(改造)」は評価の対象に入りませんのでご了承ください。
※「2023/07/16」時点でのレビューなのでアップデートで仕様が変更された可能性があるかもしれません。
製品情報
コンセプト考察
このゲームのコンセプトは
『前作を超える圧倒的自由度、”できるかな?”ができるゲーム』であると考える。
評価基準
評価項目 |
点数 |
(1)メインシステム |
7 |
(2)グラフィック |
10 |
(3)ミュージック |
10 |
(4)レベルデザイン |
4 |
(5)ステージデザイン |
7 |
(6)操作方法/操作性 |
9 |
(7)演出 |
9 |
(8)ボリューム |
6 |
(9)配慮、サブシステムの充実 |
3 |
(10)シナリオ構成/内容 |
9 |
合計 |
74点 |
※1~4は「不評な点が好評な点を上回る場合」、5は「可もなく不可もない場合」、6~10は「好評な点が不満点を上回る場合」である。
判定表
基準点数 |
10~30 |
31~50 |
51~70 |
71~90 |
91~100 |
判 定 |
クソゲー |
微妙ゲー |
普通ゲー |
良ゲー |
神ゲー |
感想/点数の要因
(1)メインシステム
- どこでも空中に浮遊する足場を出すことができる「浮遊石」や一定方向に加速移動ができる「ロケット」など様々な効果がある「ゾナウギア」が様々な場面で冒険に拡張性を生んでおり素晴らしい。
- 個人的に「ジャストガード」や「ジャスト回避」など、前作「ブレスオブザワイルド」からあるアクションが発動しやすいように感じた。
- 細かな変更点はあるが、主人公リンクに剣技アクションの追加が1つもない。過去タイトルの「兜割り」、「背面斬り」、「大回転斬り」などが追加されて欲しいところだ。
- 「イーガ団」のイベントで「土遁の術」という特殊攻撃を入手できるが、実用性がなさすぎる。「口笛」を吹くと洞窟の入り口が現れる謎解きがあるにも関わらず、「土遁の術」を用いて解く謎解きなどは一切ない。
- 今作には「ウルトラハンド」という新しいアイテムを用いて車や飛行機、兵器など、様々なものを作成できるクラフト要素があるが、「ゼルダの伝説」にクラフト要素を求めているユーザーと、そうではないユーザーで評価が大きく分かれると感じた。
- 「ウルトラハンド」を用いて、「ゾナウギア」の「扇風機」×2、「操縦桿」×1で「エアロバイク(ホバーバイク)」というコスパ最強の乗り物をクラフトできることを知ると他の乗り物をクラフトする必要性を感じなくなる。縦横無尽に快適に空中移動できるのでオープンワールドゲームでは諸刃の剣のような要素だと感じた。
- 「スクラビルド」という敵の角や爪などの素材を武器と組み合わせて攻撃力を増加させたり、属性を付与できる新しいアイテムが面白い。しかし、ポーチ内の素材を一々フィールドに出さないと「スクラビルド」ができない仕様はテンポが悪く感じられた。メニュー画面内での使用ができるシステムが欲しいところだ。
- 「モドレコ」という新しいアイテムの物体に記憶されている動作の軌跡を呼び戻して動かすことができる仕様には驚きを隠せない。動きを戻すことによって生まれる面白さを上手くゲームとして”遊び”に落とし込むことができている。
- 「トーレルーフ」という新しいアイテムで洞窟や建物の屋内から屋外へ一瞬で脱出することができ、ストレスなく探索できる。「ゼルダの伝説」がまたオープンワールドゲームに革命を起こしたと強く感じた要素である。
(2)グラフィック
- 前作「ブレスオブザワイルド」よりもくっきりとした見やすいグラフィックになっており、色鮮やかで綺麗なハイラルの世界は圧巻で素晴らしい。
(3)ミュージック
- 風の神殿のボス「フリザゲイラ」のBGMが過去タイトル「ゼルダの伝説風のタクト」の「竜の島」のBGMが壮大にアレンジされており、特に素晴らしかった。ゲームプレイ中に鳥肌が止まらなかった。
- 黒龍戦終了後のゼルダ姫を追いかける演出中にて「ゼルダの子守歌」から「ゼルダの伝説のメインテーマ」にBGMが切り替わるところは感動ものだった。
- 私は「ゼルダの伝説」において謎解きの要素を非常に好んでおり、前作「ブレスオブザワイルド」を超える”歯ごたえのある謎解き”を期待していたが、自由度が高すぎるゲームバランス故にどこか物足りなさを感じた。
- 破魔の祠(小型ダンジョン)や大型ダンジョンなどの謎解きの解法が無数にあるため、ゲーム進行が止まることはほとんどないが、少しプレイすればすぐに思いつくような強引なプレイがまかり通るのは物足りなさを感じた。
- 破魔の祠(ミニダンジョン)を外から持ち込んだ盾ロケットや爆弾などで容易に攻略できる事に気づくと真面目に内部に用意されてるアイテムで攻略することが無意味に感じた。
- 「はじまりの空島」のチュートリアルが少し億劫に感じる。
- 「スクラビルド」ありきの調整なのかは分からないが、雑魚敵の体力、攻撃力が非常に高く、アクションゲームが苦手なユーザーは序盤は仕様を把握しきれず頻繁にゲームオーバーするかもしれないと感じた。
- 「ゾナウギア」や岩などを利用した攻撃が弱く、「スクラビルド」で攻撃力を上昇させた武器が強すぎるため、結局「ゾナウギア」はダメージ効率とコスパを考えると実用性が低いため、SNSや動画サイトで共有するためのおふざけクラフトコンテンツになってしまっている。決して悪いことではないが実用性のある調整が欲しいところだ。
- 主人公リンクのステータスを強化する意欲の動機づけがよくできている。
- ゲームを進行すると「監視砦」の地下の「悪魔像」に話しかけることで「ハート(体力)」と「がんばりゲージ(スタミナ)」の量を変更できるようになるが、現状は「がんばりゲージ」は3週以上にできず、「ハート」は3つ以下に調整することはできないため、ステータスに自由度がもっと欲しいところだ。そうすることでハートが1つの時に攻撃力が上昇する効果のある武器などの選択肢が増えるだろう。
(5)ステージデザイン
- 地上のフィールドは前作「ブレスオブザワイルド」を流用しているため、プレイ済みのユーザーはどのような変化が起きているのか楽しむことができる。
- 地上、空島、地底を絡めた「ローメイ島」という場所の仕掛けが面白い。
- 空島はそれぞれ濃密な設計がされている。
- 地上のフィールドは岩山が崩れていたり、洞窟や井戸などの追加があり、前作「ブレスオブザワイルド」と全く同じなわけではない。
- ”北東には「リトの村」がある。南東には「ゲルド砂漠」がある。”などなど、前作「ブレスオブザワイルド」をプレイ済みのユーザーだと大まかなロケーションがわかってしまうため未開の地を開拓する新鮮味はそこまで味わえない。
- 地上のフィールド各地には天変地異で追加された洞窟があり、見つけた際はワクワクする。しかし、基本的に洞窟には「マヨイの落とし物(コンプリート要素アイテム)」、「前作(ブレスオブザワイルド)でもあった防具」があるだけだと気づくと徐々にワクワク感がなくなっていった。洞窟を絡めたイベントや最奥には隠しボスや特殊アイテムなどの報酬がもっと欲しいところだ。
- 洞窟内など発見しにくい破魔の祠(ミニダンジョン)の内容は「ラウルの祝福」ばかりで基本的に省かれており、手抜き感が否めない。
- 過去タイトル「時のオカリナ」では「井戸の底」というステージがあり、血塗られたハイラルの歴史を感じるステージだったので井戸で何かしら世界観を掘り下げる要素があればファンとしては胸熱だった。
- 地底のフィールドは内容が薄い割に広大すぎるため手抜き感が否めない。
(6)操作方法/操作性
- 「ウルトラハンド」や「スクラビルド」などを使用する際にLスティックを用いて直感的に操作できる仕様になっており、最近のアクションゲームなどに用いられている操作がしやすいUI ※1になっている。
- オプションは前作「ブレスオブザワイルド」とほとんど変わらないが、ミニマップ北固定やジャイロ※2 のオフ機能はユーザーに対して配慮があると感じた。
- 「ウルトラハンド」のXY軸や接着の挙動が煩わしく思う場面が多々ある。
- 馬の操作性が前作「ブレスオブザワイルド」同様で悪い。なぜ改善されていないのか疑問である。
- 誤操作で賢者の能力を発動してしまうため、アイテムが吹き飛んだり、燃えたりすることが多々あるため、賢者呼び出しは基本的には解除しておくのが安定であると感じた。
※1 UIとは、User Interface(ユーザインターフェース)の略で、ユーザーとコンピュータとが情報をやり取りをする際に接する、機器やソフトウェアの操作画面や操作方法である。
※2 ジャイロは、物体の動きを検知するのが主な機能で、1秒間あたりどれくらいの角度が変化したかを測定する角速度センサーである。
(7)演出
- まるでその世界で生活しているかのようにNPC※3 が細かく作られている。
- 各所のキャラクターの手記や石板の書き置きでより世界観を掘り下げる要素が面白い。
- 前作「ブレスオブザワイルド」で登場したキャラクターとの共闘が味わえる。
- 前作「ブレスオブザワイルド」で登場したキャラクターがその後どうなっているのか、しっかり描かれている。
- 「ゾーラ族」の賢者のみだけ11基の石板を用いたキャラクターを掘り下げるイベントがあるのはもったいない。他の種族の賢者もそれぞれ石板を用いたイベントがほしかった。
- 各地にある桜の木付近に果物をお供えすると出現する「サトリ様」のムービーがスキップできない。特定範囲内にある洞窟の入り口に一定時間狼煙を上げてくれる探索補助要素で何度も使用するため、ムービーはスキップできた方がテンポが良いと感じる。
- 素材や鉱石、ルピー(お金)などは一つずつボタン入力を行って入手しなければならないのは不便である。特殊アイテムを入手するとボタン長押しやなどで周囲のアイテムを自動入手できるようになるシステムが欲しいところだ。
- 「ゾナウ製造機」から「ゾナウカプセル」がたくさん出現する演出はテンポが悪いため必要ないと感じた。「ゾナウカプセル」を出しすぎるとFPS※4 の低下が見受けられるため余計に必要ないと感じた。
※3 NPCとは、Non Player Characterの略称であり、ゲーム上でプレイヤーが操作しないキャラクターのことを指す言葉である。
※4 FPS(フレームレート)とは、1秒間の動画が何枚の画像で構成されているかを示す単位のこと。 数値が高いと滑らかな動画、低いとカクカクした動画になる。
(8)ボリューム
- 全体的にやることは多いように見受けられるが一つ一つの要素が薄い。
- 地底のフィールドはメインシナリオやイベントを終えると「破魔の根」に触れて明りを灯す要素、基本役に立たない「設計図」を収集する要素、前作「ブレスオブザワイルド」でamiibo(アミーボ)※5 限定だったアイテムを集める要素の3つくらいで地底は地上と比較して広い割にはやることが少ないためメインシナリオやイベントに関する重要な箇所しか地底のフィールドは必要ないと感じた。
- 各地にあるNPCに話しかけることで行えるミニゲームで入手できる報酬がルピー(お金)、鉱石、料理ばかりでがっかりする。今作の新しい防具や大事なものが報酬で欲しいところだ。
- 緑の水晶を運ぶ祠チャレンジが多すぎる。多少なら問題はないが何十回も同じ内容だと面白いよりも面倒くさいが先行してしまい破魔の祠(ミニダンジョン)の内容を開発しないようにしている手抜き感が否めない。
- 祠チャレンジや洞窟内にある破魔の祠(ミニダンジョン)の内容が「ラウルの祝福」でが省かれてばかりで手抜き感が否めない。
- 地上のフィールド各地にある井戸の中は基本的には料理のレシピや素材があるだけで手抜き感が否めない。
- これは前作「ブレスオブザワイルド」でも多くのユーザーから指摘されていたが”敵の種類が少ない”だ。最新作で敵の種類は増えてはいるものの空島と地底のフィールドが追加された分の敵の種類が追加されただけなため全体的に見るとどうしても敵の種類が少なく感じてしまう。個人的にだが「忘れ去られた神殿」の最奥に「ダークリンク」や「ボルバ」が登場すれば胸熱だった。もっというと過去タイトルに登場した敵である「タートナック」「アイアンナック」「ヴァルバジア」「マズラ」「テスチタート」「デクババ」「ドドンゴ」「テクタイト」「ギルボック」「ジャーマフェンサ」などが欲しいところだ。
- 拠点をクラフトしたりNPCと協力して拠点を防衛するような要素はない。拠点周辺で使用できる専用「ゾナウギア」で拠点を強化する要素や拠点を敵が攻めてきてNPCと協力して防衛するようなイベントなどが欲しいところだが、ゲームハードの性能的にも無理だったのかもしれない。
※5 amiibo(アミーボ)とは、任天堂Switchに連動させるとキャラクターを増やせたり、特別なアイテムがもらえたりするフィギュアやカードなどのグッズである。
(9)配慮/快適さ/サブシステムの充実/バグ
(10)シナリオ構成/内容
- シナリオは王道だがよく練られていて素晴らしい。
- 宿敵「ガノンドロフ」が約17年ぶりにシリーズ本編に登場したのはゼルダファンとしてとても嬉しかった。「トワイライトプリンセス」以来である。
- 前作「ブレスオブザワイルド」や過去タイトルからの矛盾点が多々あるが、過去タイトルとのシナリオの整合性はシリーズ通して重要視しているものではないためそこまで気にはならなかった。
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